貿易統計11年7月~貿易収支(季節調整値)は4ヵ月連続の赤字

2011年08月18日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・貿易収支(季節調整値)は4ヵ月連続の赤字
・輸出の回復ペースは非常に緩慢となる公算

■introduction

財務省が8月18日に公表した貿易統計によると、7月の貿易収支は725億円の黒字となった。原数値の貿易収支は2ヵ月連続の黒字となり、ほぼ事前の市場予想(QUICK集計:701億円、当社予想は915億円)通りの結果であった。ただし、輸入の伸びが前年比9.9%(6月:同9.8%)と高止まりする一方、先月まで急ピッチで回復を続けてきた輸出は、前年比▲3.3%と前月の同▲1.6%からマイナス幅が拡大した。
貿易収支は原数値では2ヵ月連続の黒字となったが、貿易収支には季節性があるため、基調を判断するためには季節調整値を用いることが適切である。7月の貿易収支を季節調整値で見ると、▲1,305億円(6月は▲1,965億円の赤字)と4ヵ月連続の赤字となった。赤字幅は縮小傾向にあるものの、基調としては依然として貿易赤字が続いていると判断される。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲5.2%(6月:同▲2.7%)、輸出価格が前年比1.9%(6月:同1.1%)であった。輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲2.6%(6月:同1.7%)、輸入価格が前年比12.8%(6月:同8.0%)であった。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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