8月ECB政策理事会:インフレ警戒姿勢は維持、危機拡大には非標準的手段で対応

2011年08月05日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・政策金利は据え置き、市場の緊張には非標準的手段で対応
・再開された国債の買い入れ
・景気の先行きの不確実性を強調しつつ、「緩やかな拡大が続く」との見通しは維持
・インフレ・リスクは上振れ。年内追加利上げの可能性を残す

■introduction

欧州中央銀行(ECB)は4日に8月の政策理事会を開催、政策金利の据え置きとともに国債市場の緊張に資金供給面から対応することを決め、3月以降、停止していた国債の買い入れも再開した。
スペイン、イタリアの国債市場の緊張の高まりに加えて、足もとの経済指標は牽引役のドイツも含めてユーロ圏の景気減速を裏付けるものが増えており、市場ではECBの追加利上げ観測が急速に後退している。「多くの要因から成長のモメンタムは鈍っている」、「不確実性はとりわけ高い」など景気判断は慎重化しているが、「緩やかな景気拡大が続く」との見通し、インフレのリスクは「上振れ」という判断、「とても注意深く監視する」というスタンスは維持、10~12月期の追加利上げの可能性は残されている。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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