雇用関連統計11年5月~持ち直しの兆しが見られる雇用情勢

2011年07月01日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・失業率は3ヵ月ぶりに改善
・被災地では新規求人、求職ともに大幅増

■introduction

総務省が7月1日に公表した労働力調査によると、5月の完全失業率は前月から0.2ポイント低下し4.5%となった(QUICK集計・事前予想:4.7%、当社予想は4.8%)。
就業者数は前年比0.1%(4月:同0.1%)と2ヵ月連続で増加した。自営業主・家族従業者は大幅に減少したが、雇用者数が4月の前年比0.4%から同1.1%へと伸びが大きく高まった。失業者数は293万人(前年比38万人の減少)となり、12ヵ月連続で前年の水準を下回った。
東日本大震災後、雇用調整助成金の特例が拡充された(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、長野県、新潟県のうち災害救助法適用地域に所在する事業所等の支給要件を緩和)。これを受けて、雇用調整助成金の申請数は3月、4月と急増したが、5月は前月よりも若干減少した。
東日本大震災発生後には、雇用情勢が急速に悪化することも懸念されたが、経済活動の急激な落ち込みが短期間にとどまったこともあり、雇用調整が本格化するリスクは低下していると考えられる。ただし、労働力調査は東日本大震災の影響により、岩手県、宮城県、福島県において調査の実施が困難となったため、3月分から当該3県を除いた結果が公表されている。このため、雇用情勢の実態は公表値よりも悪化している可能性が高いことには留意が必要だ。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、製造業が前年に比べ21万人増(4月:前年比0万人)、建設業が21万人増(4月:同▲6万人減)となり、この2業種だけで5月の雇用増(前年比55万人増)の8割近くを占めた。
製造業は鉱工業生産が3月に急速に落ち込んだ後、4月から持ち直していること、建設業は震災後の復旧、復興の動きが影響している可能性がある。ただし、労働力調査は月々の振れが大きい統計であるため、今月の結果だけで判断するのは早計である。6月以降の動きが注目される。
一方、震災前は堅調な動きが続いていた卸売・小売業は前年に比べ4月の▲34万人減に続き、5月も同▲19万人と大きく減少した。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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