貿易統計11年5月~2ヵ月連続の貿易赤字

2011年06月20日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・2ヵ月連続の貿易赤字
・自動車輸出が持ち直し

■introduction

財務省が6月20日に公表した貿易統計によると、5月の貿易収支は▲8,537億円の赤字となり、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲7,098億円、当社予想は▲7,102億円)を若干上回った。
震災に伴う国内生産の落ち込みを背景に輸出が前年比▲10.3%(4月:同▲12.4%)と前月に続き前年比二桁の減少となる一方、原油高の影響などから輸入が前年比12.3%(4月:同8.9%)と伸びを高めたため、貿易収支は2ヵ月連続の赤字となった。
5月の輸出入を旬別に分けてみると、輸出は上旬:前年比▲13.6%→中旬:同▲7.2%→下旬:同▲11.6%、輸入は上旬:前年比23.6%→中旬:同7.5%→下旬:同10.1%となった。
輸出減少の主因となっていた国内生産の落ち込みはすでに歯止めがかかっているが、輸出が持ち直しに向かうのは6月に入ってからになると考えられる。
季節調整済の貿易収支は▲4,746億円(4月は▲4,696億円)と2ヵ月連続の赤字となり、赤字幅は前月から若干拡大した。輸出が前月比2.5%(4月:同▲5.5%)と3ヵ月ぶりの増加、輸入が前月比2.4%(4月:同3.6%)と2ヵ月連続の増加となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲10.8%(4月:同▲11.6%)、輸出価格が前年比0.5%(4月:同▲0.9%)であった。輸入の内訳は、輸入数量が前年比5.5%(4月:同1.3%)、輸入価格が前年比6.5%(4月:同7.5%)であった。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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