消費者物価(全国11年4月)~コアCPI上昇率は2年4ヵ月ぶりのプラス

2011年05月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コア CPI上昇率は2年4ヵ月ぶりのプラス
・食料品を中心に物価上昇品目数が大幅に増加
・コアCPI上昇率は夏場にかけて1%程度へ

■introduction

総務省が5月27日に公表した消費者物価指数によると、11年4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.6%(3月:同▲0.1%)となり、2年4ヵ月ぶりに上昇に転じた。事前の市場予想(共同通信集計:0.6%、当社予想は0.7%)通りの結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.1%(3月:同▲0.7%)、総合は前年比0.3%(3月:同0.0%)となった。
10年4月以降、コアCPIを▲0.5%ポイント程度押し下げていた高校授業料無償化の影響が一巡したことが、プラス転化の主因である。すでに消費者物価の押し上げ要因となっていたエネルギーは3月の前年比6.3%から同7.3%へと上昇率がさらに高まった。ガソリン(3月:前年比13.4%→4月:同13.2%)は上昇幅が若干縮小したが、灯油(3月:前年比24.2%→4月:同26.1%)、ガス代(3月:前年比1.7%→4月:同2.2%)の上昇幅が拡大し、電気代(3月:前年比▲0.5%→4月:同1.5%)は3ヵ月ぶりに上昇に転じた。
また、食料品(生鮮食品を除く)は前年比▲0.1%(3月:同▲0.7%)と21ヵ月連続で下落したが、下落幅は前月から大きく縮小した。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.61%(3月は0.52%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.02%(3月は▲0.16%)、高校授業料が0.00%(3月は▲0.52%)、たばこが0.28%、その他が▲0.26%(3月は▲0.22%)であった。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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