QE速報:1-3月期の実質GDPは前期比▲0.9%(年率▲3.7%)~震災の影響で2四半期連続のマイナス成長

2011年05月19日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. 2011年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.9%(前期比年率▲3.7%)と2四半期期連続のマイナス成長となった(当研究所予測4月28日:前期比▲0.5%、年率▲2.0%)。
  2. 震災の影響で民間消費、設備投資が減少したことに加え、工場の操業停止に伴う民間在庫の大幅な取り崩しが成長率を大きく押し下げた。多額の災害救助費用などから政府消費が前期比1.0%の高い伸びとなったが、民間需要の急激な落ち込みをカバーするには至らなかった。外需は輸入が輸出の伸びを上回ったことから3四半期連続でマイナス寄与となった。
  3. 日本経済は、昨年秋以降の足踏み状態をほぼ脱しつつあったが、3/11の東日本大震災発生以降、経済活動は急速に落ち込み、こうした流れは完全に途切れてしまった。
  4. 4-6月期は期中を通じてサプライチェーン寸断や電力不足の影響を受けるため、マイナス成長が不可避とみられるが、工場の操業再開に伴う在庫復元の動きが見込まれるため1-3月期に比べればマイナス幅は縮小するだろう。景気はすでに震災後の最悪期を脱している可能性が高く、3四半期連続のマイナス成長を過度に悲観する必要はない。



経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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