震災後の経済状況が徐々に明らかに

2011年04月15日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. 3月11日に東日本大震災が発生してから1ヵ月あまりが経過し、震災後の経済状況が徐々に明らかとなってきた。
  2. 3月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが前月比▲20.7ポイントと過去最悪の悪化幅となった。地域別には震災の直接の被災地である東北の悪化幅が最も大きく、計画停電の影響を受けた関東がそれに次ぐ悪化となった。
  3. 3月の個人消費は急速に落ち込んでいるとみられるが、業態別、品目別に大きなばらつきが出ている。業態別には、百貨店売上高が大幅に減少する一方、コンビニエンスストア売上高は堅調だった。また、自動車、旅行への支出が大きく落ち込む一方、水、食料、乾電池などの生活必需品は非常時に備えた買いだめが発生し、エコ家電については、3月末のエコポイント制度終了を前に一定の駆け込み需要が発生した模様である。
  4. 震災後の経済活動が急速に落ち込んだことを反映し、3月の発受電電力量は前年比▲3.0%となった。東京電力、東北電力の電力使用量は4月に入ってからも前年の80%程度にとどまっており、依然として経済の停滞が続いていることを示唆している。
  5. 当研究所が推計している月次GDPは2011年1月が前月比0.2%、2月が同0.7%と堅調に推移してきたが、3月には同▲3.6%と急速に落ち込むことが見込まれる。この結果、2011年1-3月期の実質GDPは前期比▲0.2%(年率▲0.7%)と2四半期連続のマイナス成長となると予測する(1-3月期の最終的な予測値は4/28に発表予定)。



経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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