地デジ対応テレビの買い替え需要

2011年01月14日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. テレビは2010年12月からのエコポイント制度見直しを前に駆け込み需要が発生したが、今後はその反動から販売が大きく落ち込むことが懸念されている。
  2. 地上デジタル放送対応テレビ(以下、地デジ対応テレビ)の一世帯当たりの普及台数は2010年11月時点で1.27台と試算され、テレビ全体の保有台数2.14台を大きく下回っている。引き続き高水準の買い替え需要が残っていることが示唆される。
  3. 総務省「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」などをもとに、地デジ対応テレビの買い替え需要を試算すると、2010年12月から地上アナログ放送終了予定の2011年7月までの累計で約1,800万台、1ヵ月当たり約230万台という結果となった。大規模な駆け込み需要が発生した2010年10月、11月からは水準が低下するものの、それ以前の水準は大きく上回っている。
  4. エコポイント制度は2010年12月、2011年1月に縮小された後、3月には終了予定となっているが、地デジ対応テレビの販売台数は高水準の買い替え需要を背景に、月々の振れを伴いながらも当面は堅調に推移することが予想される。
  5. テレビは自動車を大きく上回る規模の需要の先食いが発生している。このため、地上デジタルテレビ放送への移行完了後の落ち込み幅はエコカー補助金終了後の自動車販売を大きく上回り、販売の低迷が長期化する可能性が高いだろう。


経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)

関連カテゴリ・レポート