経済研究部 経済調査部長
斎藤 太郎(さいとう たろう)
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
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■見出し
・鉱工業生産は6ヵ月ぶりの上昇
・10-12月期は減産不可避も足踏み状態は脱却へ
■introduction
経済産業省が12月28日に公表した鉱工業指数によると、11月の鉱工業生産指数は前月比1.0%と6ヵ月ぶりの上昇となり、ほぼ事前の市場予想(共同通信集計:前月比0.9%、当社予想は同1.1%)通りの結果となった。出荷指数は前月比2.5%と5ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比▲1.7%と2ヵ月連続の低下となった。
11月の生産を業種別に見ると、在庫の大幅な積み上がりが続いていた情報通信機械は前月比▲5.0%と大きく低下したが、エコカー補助金終了後の国内販売の反動減から大幅な落ち込みが続いていた輸送機械が前月比4.4%と7ヵ月ぶりの上昇となったほか、電子部品・デバイスも前月比3.1%と6ヵ月ぶりに上昇した。速報段階で公表される16業種中、12業種が前月比で低下、3業種が上昇(1業種が横ばい)となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は前月比▲1.5%(10月:同2.8%)となり、10月、11月の平均は7-9月期よりも1.6%高い水準となっている。また、建設投資の一致指標である建設財出荷は前月比3.0%(10月:同▲3.0%)となり、10月、11月の平均は7-9月期よりも1.4%高い水準となっている。GDP統計の設備投資は09年10-12月期以降、4四半期連続で増加しているが、足もとも増勢基調が維持されていると考えられる。
一方、消費財出荷指数は前月比3.3%と3ヵ月ぶりに上昇した。ただし、10月に前月比▲5.2%と大きく落ち込んでおり、10月、11月の平均は7-9月期よりも▲3.4%低くなっている。GDP統計の民間消費は7-9月期には前期比1.2%の高い伸びとなったが、10-12月期は反動減を主因として大幅なマイナスが避けられないだろう。
経済研究部 経済調査部長
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員