消費者物価(全国10年10月)~たばこ、傷害保険料の値上げから下落率が大幅に縮小

2010年11月26日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIの下落率は前月から0.5ポイント縮小
・物価下落品目数が2ヵ月ぶりに減少
・下落率の縮小傾向はいったん足踏みも

■introduction

総務省が11月26日に公表した消費者物価指数によると、10月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.6%となり、下落率は前月から0.5ポイント縮小した。事前の市場予想(共同通信集計:▲0.6%、当社予想は▲0.5%)通りの結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.8%(9月:同▲1.5%)、総合は生鮮食品の高騰(前年比17.4%)を主因として前年比0.2%(9月:同▲0.6%)と1年10ヵ月ぶりの上昇となった。
コアCPIの下落率が前月から大きく縮小したのは、たばこ(前年比38.6%)、傷害保険料(前年比11.8%)の大幅値上げによるところが大きい。コアCPIの押し上げ幅はたばこが0.28ポイント、傷害保険料が0.15ポイントで、下落幅縮小のほとんどがこの2品目によって説明できる。
それ以外では、灯油(9月:前年比13.3%→10月:同12.3%)の上昇幅は縮小したが、電気代(9月:前年比2.8%→10月:同3.0%)、ガス代(9月:前年比3.6%→10月:同4.3%)、ガソリン(9月:前年比2.3%→10月:同2.7%)、の上昇幅が拡大したため、エネルギー全体の上昇率は9月の前年比3.7%から同4.0%へと若干拡大した。
食料品(生鮮食品を除く)は前年比▲1.3%(9月:同▲1.4%)と15ヵ月連続で下落したが、下落幅は前月よりも若干縮小した。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.32%(9月は0.29%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.29%(9月は▲0.34%)、高校授業料が▲0.52%、たばこが0.28%、その他が▲0.38%(9月は▲0.54%)であった。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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