QE速報:7-9月期の実質GDPは前期比0.9%(年率3.9%)~駆け込み需要を主因に高成長も、10-12月期はマイナス成長の公算大

2010年11月15日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. 2010年7-9月期の実質GDP成長率は、前期比0.9%(前期比年率3.9%)と4四半期連続のプラス成長となった(当研究所予測10月29日:前期比0.5%、年率2.2%)。
  2. これまで景気の牽引役となってきた輸出の伸びが大きく低下し、外需寄与度は4-6月期の前期比0.3%から同0.0%へと縮小したが、自動車、たばこの駆け込み需要などから民間消費が前期比1.1%の高い伸びとなり、成長率を大きく押し上げた。また、企業収益の改善を背景に設備投資が増加した(前期比0.8%)ことに加え、住宅版エコポイント制度の効果顕在化などから住宅投資も増加に転じた(前期比1.3%)ため、国内民間需要は揃って堅調な動きとなった。
  3. 7-9月期は潜在成長率を大きく上回る高成長となったが、駆け込み需要という一時的な要因によるところが大きく、景気は実勢としては輸出の低迷を主因として足踏み状態にある。すでに、エコカー補助金終了後の反動減は顕在化しており、自動車販売台数は9月、10月と急減し、10月の販売台数はリーマン・ショック後を下回る水準となっている。
  4. 10-12月期は輸出の低迷が続く中、駆け込み需要の反動減により民間消費が大きく落ち込むことが見込まれるため、マイナス成長に転じる可能性が高いだろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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