消費者物価(全国10年8月)~下落幅縮小も、先行きは円高が下押し要因に

2010年10月01日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIの下落率は0.1ポイント縮小
・物価下落品目数は3ヵ月連続で減少
・10月以降、たばこ値上げがコアCPIを0.3%程度押し上げ

■introduction

総務省が10月1日に公表した消費者物価指数によると、8月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲1.0%となり、下落率は前月から0.1ポイント縮小した。事前の市場予想(ロイター集計:▲1.0%、当社予想は▲1.1%)通りの結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲1.5%(7月:同▲1.5%)、総合は前年比▲0.9%(7月:同▲0.9%)となった。
コアCPIの内訳を見ると、ガソリン(7月:前年比7.4%→8月:同6.4%)、灯油(7月:前年比18.2%→8月:同17.4%)の上昇幅は縮小したが、電気代(7月:前年比▲0.3%→8月:同1.3%)が1年5ヵ月ぶりに上昇に転じ、ガス代(7月:前年比1.4%→8月:同2.5%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー全体の上昇率は7月の前年比3.7%から同4.3%へと若干高まった。
食料品(生鮮食品を除く)は前年比▲1.3%(7月:同▲1.4%)と13ヵ月連続で下落したが、下落幅は前月よりも若干縮小した。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.34%(7月は0.30%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.29%(7月は▲0.34%)、高校授業料が▲0.52%、その他が▲0.53%(7月は▲0.54%)であった。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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