駆け込み需要と反動減の影響をどうみるか

2010年09月17日

(斎藤 太郎) 日本経済

  1. 個人消費は持ち直しの動きを続けているが、2010年7-9月期以降は自動車、エコ家電、たばこで駆け込み需要とその反動減が発生するため、個人消費の基調が見極めにくい状況が続くことになる。
  2. 駆け込み需要と反動減による影響を前期比ベースで見る場合には、駆け込み需要によるプラス幅よりも反動減によるマイナス幅のほうが大きくなることに注意が必要だ。
  3. 2010年7-9月期は自動車、たばこを合わせて約4,000億円の駆け込み需要が発生し、これにより個人消費は前期比0.6%程度押し上げられると試算される。逆に、10-12月期はエコ家電の一部で駆け込み需要が発生するが、自動車、たばこの反動減による影響がそれを大きく上回るため、個人消費は前期比▲1.0%程度押し下げられるだろう。
  4. 当研究所では、個人消費(GDP統計の民間消費)は7-9月期に前期比0.9%の高い伸びとなった後、10-12月期に同▲0.8%と大幅に落ち込むと予想しているが、駆け込み需要、反動減の影響を除けば、前期比0.2~0.3%程度の緩やかな増加が続くとみている。
  5. 個人消費の基調を判断するためには、駆け込み需要・反動減とそれ以外の部分を区別してみることが必要だろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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