9月ECB政策理事会:10~12月期も固定金利・金額無制限の流動性供給を継続

2010年09月03日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・3カ月以下の流動性供給は10~12月期も固定金利・金額無制限
・スタッフ経済見通しは成長率、インフレ率とも上方修正
・域内の国債スプレッドの再拡大は静観
・利上げが非標準的手段の収束に先行する可能性も

■introduction

欧州中央銀行(ECB)は、2日に開催した9月の政策理事会で政策金利の据え置きと3カ月以下の流動性供給を10~12月期も固定金利・金額無制限で継続することを決めた。
今月は足もとの景気判断を上方修正し、四半期に一度公表されるECB/ユーロシステム・スタッフ見通しでは、2010年、2011年両年について成長率、インフレ率が上方修正された。
市場では銀行間のターム物金利の上昇傾向が一巡する一方、ギリシャ、アイルランドの国債利回りが上昇しているが、ECBは静観の構えである。
ECBは、政策金利の変更は中期的な物価の安定のため、非標準的手段は金融システムの機能回復のための措置として明確に区別している。固定金利・金額無制限での流動性供給を継続する一方、政策金利の引き上げに動くこともありそうだ。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)