臨時決定会合(8/30):円高対応、新型オペの期間を6ヶ月に延長

2010年08月30日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・臨時決定会合を開催し、追加緩和を決定
・結局今後も「通貨安合戦」?

■introduction

日銀は30日に臨時決定会合を開催し、急激な円高・株安による景気悪化を防ぐため、追加金融緩和策を決定した。政府が追加経済対策の基本方針を30日に決めるのに合わせ、政府・日銀が一体となって円高などに取り組む姿勢を鮮明にした。
米国に出張していた白川方明総裁は、30日に予定されていた帰国を29日に前倒しした。先週23日、菅総理と白川総裁が電話会談を行なっているが、その際には具体的な追加策にはつながらなかった。しかし、その後も円高・株安が続き、企業経営者・国民から政府・日銀の無策に対する批判が高まったことが「臨時決定会合」に踏み切るという流れになったのだろう。
今回の追加緩和策は、昨年12月に導入した新型オペの拡充策となった。具体的には、年0.1%の固定金利で期間3カ月の資金を供給する共通担保資金供給オペ(新型オペ)を6カ月に延長(資金供給も20⇒30兆円に増額)した。市場では新型オペ20兆円から30兆円への増額と予想する向きが多かったが、期間延長したということは、(1)「サプライズ」を少なからず意識し、(2)期間延長によりターム物金利を低下⇒円高対応という意図を明確にしたと思われる。日銀がこれまで緩和姿勢を明確にしてきたFRBに対して「後手・無策」との批判があったことを少なからず意識しているのだろう。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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