金融市場の動き(8月)~米国で高まるデフレ懸念:デフレに陥るかは期待インフレ率がかぎ

2010年08月06日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. (米国で高まるデフレ懸念)米国ではFRBが先行きの経済見通しを下方修正したように、数ヶ月前と比べて景気回復の足取りが緩慢になってきている。労働市場の回復が遅くデフレのリスクも高まっている。デフレに陥るかは現在落ち着いている「期待インフレ率」がかぎとなるだろう。
  2. (日銀金融政策))日銀内でも米国経済の先行きなど先月に比べて下ぶれリスクが高まっているとの見方が増えているはず。今回の決定会合では政策変更はないが、今後米FRBが追加緩和に踏み込めば日銀も追加緩和の議論が本格化するだろう。
  3. (長期金利)今後とも米経済指標の結果に一喜一憂する。引き続き国内要因はあまり材料視されないだろう。日本の長期金利も当面は低位安定で推移すると見る。
  4. (為替)今後もドル低迷の流れは続くとみられるが、ユーロドルは既にかなりのスピードで上昇してきたため、今後調整局面を迎えることもあり得る。従って、円ドルの上昇圧力が続く可能性が高く、85円を一時的に突破する可能性もある。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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