6月マネー統計:銀行貸出の減少に歯止めはかからず

2010年07月08日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 7ヶ月連続の前年割れ
・マネタリーベース: 緩和姿勢は緩まず
・マネーストック: 譲渡性預金への流入が顕著

■introduction

日銀が発表した貸出・資金吸収動向等によると、6月の銀行総貸出(平残)の前年同月比伸び率は前月と同じく▲2.1%と、7ヶ月連続の前年割れとなった。設備資金など企業の資金需要の低迷が未だ続いていることから、貸出残高(平残394兆円)の減少に歯止めはかかっていない(図表1,2)。
なお、金融庁の発表した2010年3月末までの「中小企業金融円滑化法」の実施状況によると、銀行では法施行以降4ヶ月で返済猶予など7.3兆円の貸付条件変更が実施された。これは中小企業向け貸出残高の4%に相当する。審査中などを除く実行率は98%と極めて高く、銀行の前向きな姿勢がうかがわれる。これが最近の中小企業の倒産件数減少や資金繰りの改善に一部繋がっているとみられるが、中小企業向け貸出残高を押し上げるまでには今のところ至っていない(図表3~7)。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)