6月ECB政策理事会:証券市場プログラムの詳細は明かさず

2010年06月11日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・政策金利は据え置き、潤沢な流動性供給を継続
・証券市場プログラムの詳細は明かさず
・経済は緩やかな回復持続も不確実性が非常に高い

■introduction

欧州中央銀行(ECB)は10日に政策理事会を開催、政策金利の据え置きのほか、7~9月期の3カ月物資金供給も固定金利・金額無制限で行なうことを決めた。
質疑応答は、先月6日に開催された前回理事会後の記者会見で「議論していない」としながら10日に一転して導入した債券市場への介入(「証券市場プログラム」)への質問が集中したが、週次で開示している買い入れ総額以外は明らかにしないとの立場を貫いた。
四半期に1度のスタッフ経済見通しでは、2010年の成長率は上方修正されたが、2011年は下方修正し、不確実性の高さも強調された。ECBの政策金利の据え置き期間は長期化、非標準的手段の収束も市場の動きを見極めながら、慎重に進めるものと思われる。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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