3月マネー統計:銀行貸出は約4年半ぶりの前年比マイナス2%台

2010年04月12日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 設備投資動向が今後のカギ
・マネタリーベース: 追加緩和を背景に高い水準をキープ
・マネーストック: 通貨供給量の伸びは緩やかに低下しつつも、引き続き高水準

■introduction

日銀が発表した貸出・資金吸収動向等によると、3月の銀行総貸出(平残)の前年同月比伸び率は▲2.0%と前月(▲1.6%)からマイナス幅が拡大した。マイナス2%台は2005年8月以来となる。
比較対象である09年3月はリーマン・ショック後の金融市場の混乱に伴う貸出急増のピークにあたり、その反動という面もあるが、資金需要の低迷も続いているようだ。短観の2010年度設備投資計画は前年度比▲3.9%と下げ止まり感が出ているが、今後企業の投資姿勢が積極化するかどうかが銀行貸出を左右するポイントになる。
なお、中小企業向け貸出は引き続き前年比▲3%台で推移している。短観の資金繰り判断D.I.も中小企業では依然水準が低く、倒産も過去のトレンドからは高止まりしている(図表1~6)。中小企業向けの政策サポートの効果が今後出てくるのか注目される(図表1~6)。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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