4月ECB政策理事会:適格担保要件の新方針はギリシャ支援色が濃い内容

2010年04月09日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・政策金利の据え置きとオペの適格担保要件の新方針を決定
・質疑応答はギリシャ問題に集中
・金融政策の舵取りが難しい局面は続く

■introduction

3月25日のユーロ圏首脳会合で、財政危機に直面しているギリシャへの支援はユーロ参加国政府と国際通貨基金(IMF)との協調融資の形態をとることで合意したものの、支援の実効性を巡る懸念から、ギリシャのリスク指標はピークを更新、ギリシャの銀行に対する不安も広がっている。
こうした中で8日に開催された欧州中央銀行(ECB)の政策理事会では、政策金利の据え置きとともにオペの適格担保要件に関する新方針を決定したが、その内容はギリシャ支援の性格を帯びたものと解釈することができる。政策理事会後の記者会見における質疑応答は、支援策の実効性などギリシャ問題に集中した。トリシェ総裁は、ギリシャの自助努力が必要との立場を維持しつつ、ユーロ圏首脳の合意は「実効性のある枠組み」とし、ギリシャの債務不履行(デフォルト)の可能性を否定した。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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