鉱工業生産10年2月~生産は12ヵ月ぶりの低下

2010年03月30日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・生産指数が1年ぶりに低下
・4-6月期以降、増産ペースは鈍化の見込み

■introduction

経済産業省が3月30日に公表した鉱工業指数によると、2月の鉱工業生産指数は前月比▲0.9%と12ヵ月ぶりに低下した。事前の市場予想(ロイター集計:前月比▲0.5%、当社予想は同1.0%)を若干下回る結果であった。出荷指数も前月比▲0.2%と12ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比1.0%と2ヵ月連続で上昇した。
2月の生産を業種別に見ると、設備投資の持ち直しを反映し回復が続く一般機械が前月比5.1%と10ヵ月連続で上昇したが、液晶テレビを中心に在庫の積み上がりがみられる情報通信機械は前月比▲4.7%と2ヵ月連続で低下したほか、好調が続いていた輸送機械が前月比▲2.5%の低下となった。速報段階で公表される16業種中、4業種が前月比で上昇、12業種が低下となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は09年10-12月期に前期比11.1%の高い伸びとなった後、10年1月が前月比▲3.9%、2月が同8.9%となり、1月、2月の平均は10-12月期よりも5.6%高い水準となっている。10-12月期のGDP統計では設備投資が7四半期ぶりに前期比で増加したが、引き続き設備投資の回復基調は維持されていると判断される。
消費財出荷指数は10-12月期の前期比4.7%の後、10年1月が前月比▲1.2%、2月が同0.2%となった。耐久消費財が前月比0.9%(1月は同▲3.2%)、非耐久消費財が前月比▲0.3%(1月は同2.1%)であった。耐久消費財はエコカー減税・補助金、エコポイント制度といった政策効果から09年4-6月期以降、3四半期連続で前期比二桁の高い伸びとなっていたが、1月、2月の平均は10-12月期よりも▲1.0%低い水準となっている。政策による押し上げ効果がここにきて徐々に弱まりつつあることを示唆している。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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