日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業・業況判断D.I.は12ポイント改善の▲13

2010年03月19日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. 4月1日公表の3月調査・日銀短観は、大企業製造業・業況判断DIが4期連続の改善を示すなど、輸出を起点に生産が堅調に推移し、国内景気も大企業、製造業を中心に回復を続けている姿が明確になるだろう。
  2. 注目度が高い大企業製造業の業況判断D.I.は▲13、大企業非製造業では▲18と、それぞれ前回調査から12ポイント、3ポイントの改善となるだろう。中小企業については、製造業が▲35、非製造業が▲33とそれぞれ前回調査から6ポイント、1ポイントの改善となるが、大企業に比べ景況感の回復が遅れている形となる。製造業では、円高が引き続きマイナス要因だが、アジア向けを中心とする輸出数量の伸びが牽引役となっている一方、牽引役が特に見当たらない非製造業では、雇用・所得環境の悪化とデフレから景況感の改善は乏しいとの結果となるだろう。
  3. 2009年度の設備投資計画(全規模・全産業)は12月調査より1%上方修正の前年度比▲16.5%と予想する。企業収益には改善の兆しが見えているが、需要の水準が戻っていないことから設備に対する余剰感はまだ強い。設備投資に対して積極姿勢に転じるのは、もう一段の景気の回復が見えてからというスタンスとなるだろう。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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