2月マネー動向:銀行貸出は3カ月連続の前年比マイナス

2010年03月08日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 貸出低迷が続く
・マネタリーベース: 緩和姿勢を背景に潤沢な資金供給が続く
・マネーストック: 通貨供給量の伸びは引き続き高水準

■introduction

日銀の貸出・資金吸収動向等によると、2月の銀行総貸出(平残)の前年同月比伸び率は▲1.6%と4年ぶりの前年割れとなった09年12月以降3カ月連続のマイナスとなった。
都銀等では同▲3.3%(前月は▲3.4%)と大幅なマイナスとなった。比較対象である09年2月はリーマン・ショック後の金融市場の混乱に伴う貸出の急増が生じていた時期にあたり、その反動が出ているというテクニカルな面もあるが、企業の設備・運転資金の需要低迷により、銀行貸出残高自体が弱めに推移しているという要素も否めない(図表1~6)。
特に中小企業向け貸出は前年比▲3%台で推移している。12月初旬に「中小企業金融円滑化法」が施行されたが、資金繰りにも依然として厳しさが見られる。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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