3月ECB政策理事会:非標準的手段は緩やかなペースで巻き戻しへ

2010年03月05日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・政策金利は据え置き、流動性供給の縮小も緩やかなペースで行なうことを決定
・景気・インフレの現状判断と見通しも従来の見方を維持
・ギリシャの追加財政再建策を歓迎、実行を促す立場は変わらず

■introduction

欧州中央銀行(ECB)は4日の政策理事会で、政策金利を10カ月連続で据え置く一方、先月の予告通り、流動性供給に関する決定を行なった。内容は、1週間物、1カ月物は必要な限り固定金利・無制限という条件で行うとするなど標準的手段の巻き戻しを緩やかなペースで進める方針を示すものであり、四半期に1度のスタッフ経済見通しもこうした政策運営を正当化するものであった。
財政危機の渦中にあるギリシャについては、3日にギリシャ政府が公表した48億ユーロ相当の追加の財政再建策を「信頼できる計画」と評価、「必要な場合」には「断固とした協調的な行動をとる」としたものの、まずはギリシャ政府の財政再建策の実行を見守るという立場を貫いた。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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