雇用関連統計10年1月~失業率は10ヵ月ぶりの4%台に

2010年03月02日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・失業率は10ヵ月ぶりの4%台
・有効求人倍率は4ヵ月ぶりに改善

■introduction

総務省が3月2日に公表した労働力調査によると、1月の完全失業率は前月から0.3ポイント低下し4.9%となった(ロイター集計事前予想:5.2%、当社予想は5.1%)。失業率は09年4月以降、5%台で推移していたが、10ヵ月ぶりに4%台まで低下した。
なお、1月分の公表と同時に過去にさかのぼって失業率の季節調整替えが実施され、過去最悪を記録した09年7月の失業率は5.7%から5.6%へ下方修正された(過去最悪であることは変わらない)。
雇用者数は前年比▲0.6%となり、12月の同▲1.2%から減少幅が大きく縮小した。失業者数は323万人、前年に比べ46万人の増加となったが、ピーク時(09年7月の103万人増)に比べると増加幅は縮小している。季節調整値でみた失業者数は328万人となり、ピーク時(09年7月)の369万人からは40万程度減少している。
失業者の内訳を求職理由別に見ると、非自発的な離職による者が前年に比べ31万人の増加(うち勤め先都合が21万人増)、自己都合による者が3万人の増加となった。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、製造業の雇用者数は前年に比べ▲61万人の減少と12ヵ月連続で減少した。09年8月の同▲106万人減に比べれば減少幅は縮小しているが、3ヵ月連続で60万人台の減少となっている。鉱工業生産は09年春頃から急回復を続けているが、生産の水準が依然としてピーク時の8割程度にとどまっていることもあり、製造業の雇用の回復ペースは緩慢なものにとどまっている。
一方、医療・福祉は前年に比べ33万人の増加(12月:19万人増)と引き続き雇用の下支えとなっているほか、卸売・小売業が前年に比べ3万人増(12月:▲9万人減)と6ヵ月ぶりの増加となった。派遣社員が含まれる職業紹介・労働者派遣業の雇用者数は前年に比べ▲2万人減と15ヵ月連続の減少となったが、12月の▲13万人減からは減少幅が大きく縮小した。
従業員規模別には、12月に2年7ヵ月ぶりに増加に転じた1~29人の中小企業の雇用者数が2ヵ月連続で前年よりも増加したが、30人以上の規模では減少した。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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