鉱工業生産10年1月~予想を大きく上回る高い伸び

2010年02月26日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・11ヵ月連続の上昇
・現時点ではリコール問題の影響はみられず

■introduction

経済産業省が2月26日に公表した鉱工業指数によると、1月の鉱工業生産指数は前月比2.5%と11ヵ月連続で上昇し、事前の市場予想(ロイター集計:前月比1.0%、当社予想は同1.8%)を大きく上回った。出荷指数は前月比2.4%と11ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比1.0%と2ヵ月ぶりに上昇した。
1月の生産を業種別に見ると、12月に10ヵ月ぶりに低下した輸送機械が前月比5.5%の高い伸びとなったほか、設備投資の下げ止まりを反映し回復が続く一般機械が前月比1.5%と9ヵ月連続で上昇した。一方、液晶テレビなど在庫の積み上がりがみられる情報通信機械は前月比▲2.7%の低下となった。速報段階で公表される16業種中、13業種が前月比で上昇、3業種が低下となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は09年10-12月期に前期比11.1%の高い伸びとなった後、10年1月は前月比▲3.7%となった。ただし、1月の指数を10-12月期と比べると1.4%高い水準にある。
消費財出荷指数は10-12月期の前期比4.7%の後、1月は前月比▲2.1%となった。エコカー減税・補助金、エコポイント制度といった政策効果から高い伸びが続いていた耐久消費財が前月比▲3.2%と11 ヵ月ぶりに低下した。単月の動きだけでは判断できないが、政策による押し上げ効果が徐々に弱まってきている可能性もあるだろう。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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