1月マネー動向:貸出低迷が鮮明に

2010年02月08日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 貸出低迷が鮮明に
・マネタリーベース: 追加緩和を背景に高い伸び率が続く
・マネーストック: 通貨供給量の伸びは引き続き高水準

■introduction

日銀の貸出・資金吸収動向等によると、1月の銀行総貸出(平残)の前年同月比伸び率は▲1.7%と4年ぶりの前年割れとなった12月(同▲1.2%)に続きマイナスとなった。貸出低迷が鮮明になっている。
都銀等では同▲3.4%(前月は▲3.1%)とマイナス幅がさらに拡大した。比較対象である09年1月はリーマン・ショック後の金融市場の混乱に伴う貸出の急増が生じていた時期であり、その反動が出ているというテクニカルな面もあるが、企業の設備・運転資金の需要低迷により、銀行貸出残高自体が弱めに推移しているという要素も否めない(図表1~4)。
企業の倒産、資金繰りの状況を見ると、貸出はしばらく弱めの動きとなりそうだ(図表5~8)。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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