信用リスク評価の高度化に資する新市場

2010年01月25日

(高岡 和佳子) リスク管理

■目次

1--------CDS取引について
2--------リカバリー・スワップについて
3--------情報提供能力について
4--------まとめ

■introduction

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは、デフォルト事由を取引対象とするデリバティブ取引であり、具体的には買い手が定期的にプレミアムを売り手に支払う代わりに、契約期間内に対象企業がデフォルトした場合、デフォルトによる損失相当額を売り手が買い手に支払う契約である。これにより買い手は、信用リスクを一定程度ヘッジすることが可能となる。
デフォルト時に売り手が損失相当額を支払う方法(以下、決済方法)には、想定元本に等しい債務と現金を授受する現物決済、デフォルト時における債務の市場価格に応じて損失相当額を決定する市場価格参照型の現金決済、契約段階で損失相当額を決定しておく定額決済型の現金決済がある。定額決済型現金決済では、実際の損失額が契約段階で決定した損失相当額を上回る場合、当該CDS契約のみではその差額は補填されない。これは、信用リスクに内包されるデフォルト時の回収額の不確実性に起因するリスクを、買い手が負い続けることを意味する。逆に、現在の主流である現物決済及び市場価格参照型の現金決済の場合、売り手は回収額の不確実性(プレミアム決定時に想定していた回収額を実際の回収額が下回ることにより損失を被るリスク)を抱えていることになる。

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