11月マネー動向:銀行貸出の伸びは大幅に縮小、都銀はマイナスへ

2009年12月08日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 銀行貸出の伸びは大幅に縮小
・マネタリーベース: 今後は拡大方向へ
・マネーストック: 通貨供給量の伸びは高水準

■introduction

日銀の貸出・資金吸収動向等によると、11月の銀行総貸出(平残)の前年同月比伸び率は0.1%(前月は1.5%)と11ヶ月連続で伸び率が縮小し、伸びはほぼゼロ水準となった。特に都銀等では▲1.3%とマイナスに転じている。比較対象である昨年11月はリーマン・ショック後の金融市場の混乱に伴う貸出の急増が起こった時期であり、その反動が出たというテクニカルな面もあるが、景気低迷の長期化に伴って企業の設備資金等の需要が低迷しており、銀行貸出残高自体が弱めに推移している(図表1~4)。
12月4日に中小企業の返済猶予等を金融機関に促す「中小企業金融円滑化法」が施行された。同法に強制力はないが、中小企業向け貸出は長期にわたり前年比マイナス圏が続き、中小企業の資金繰りが厳しいなかで貸出分野における最大の焦点となっており、今後の中小企業向け残高の動向が注目される。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)