それとは別に、国民負担として税や社会保障のように眼に見えるものばかりに焦点を当てること自体が問題なのではないだろうか。実は規制による既得権によって負担を強いられているケースが多いのだ。端的な例が農業保護である。OECDが開発した農業保護指数である生産者支持評価額(PSE:Producer Support Estimate)は、農産物の内外価格差による消費者負担と農家への補助金等の納税者負担を合わせたものだが、日本の場合、2008年で416億ドルにのぼる。そのうち、約9割が消費者負担らしい。平成21年度(2009年度)予算の消費税が10兆円程度なので、この金額の大きさがわかる。先の総選挙で食料品の消費税非課税化をマニフェストで謳った政党があったが、まったくナンセンスである。元の価格が「食料品特別消費税」を含んでいるようなものだからだ。