7月マネー動向:貸出伸び率はほぼリーマン・ショック前の水準へ

2009年08月10日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 2008年9月以来の低い伸び
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 貸し手側から見た資金需要の低下は鮮明に
・マネタリーベース: 11ヶ月連続の前年比プラス
・マネーストック: マネーの伸びは再び拡大、安全資産への資金流入が続く

■introduction

日銀の貸出・資金吸収動向等によると、7月の銀行総貸出(平残)の伸び率は前年比2.2%と7ヶ月連続で伸び率が縮小し、2008年9月以来の低い伸びとなった。景気低迷に伴って資金需要が低迷しているほか、CP・社債市場の機能が回復しており、貸出需要が頭打ちになってきている。業態別では特にリーマン・ショック以降に貸出が急増した都銀の低下が顕著であり、大企業向け貸出とほぼ同様の動きを示している。(図表1~4)
一方、中小企業向け貸出については長期にわたり前年比マイナス圏での推移が続いている。政府による信用保証制度の保証債務残高は積み上がっており、また中小の倒産件数も高止まりしていることから、中小企業の資金繰りは引き続き厳しい状況にあり、大企業との間での企業金融の2極化状態は依然解消していないものとみられる。(図表5,6)

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)