年金改革と政治

2009年08月03日

今年9月に総選挙が予定されているドイツでは、1998年の選挙で政権が交代し、前政権が成立させた年金改革法が凍結される事態が起きた。新政権下で私的年金の優遇や貧困高齢者向け制度の導入はあったが、新政権も前政権も1992年に超党派で合意された賦課方式の公的年金を維持する点では一致しており、前政権が提示した給付削減の方向性も継続された。
一方、定額基礎年金の廃止など大幅な改革が行われたスウェーデンでは、1999年の改革に先立ち、1991年に5党にわたる超党派のワーキンググループが設置され、2年余りかけて基本方針が合意された。その後、1994年の選挙で政権が交代したものの年金改革は争点とならず、具体的な改革案作りも超党派で継続された。
日本では、少子高齢化が始まって数十年経ち、年金改革の選択肢は少なくなっている。また、年金財政は経済状況や人口動態などの映し絵であり、年金の制度変更だけで解決できる問題ではないという声もある。年金をめぐる今後の政治の動きが注目される。

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