英国では、1997年のブレア政権時に、「国民や利害関係者に幅広く政策決定への参加の機会を保障する」という目的で「コンサルテーション制度」を本格化させている。制度の実施プロセスにおいては、様々な関係者や専門家から意見をヒアリングした上で、政府の考察を示し、国民の討論や協議に向けた着想やオプションを提示する「グリーンペーパー(green paper)」を公表している。そして、グリーンペーパーを介して国民より集まった声(green paper response)を元に、政策提案や正式な声明を「ホワイトペーパー(white paper)」を通じて行うなど、国民との念入りなコミュニケーションを行っている。
一例ではあるが、今年の7月に、今後の高齢者介護をどのように再構築すべきか("Shaping the Future of Care Together")という130ページ強に亘るグリーンペーパーを公表している。専門家から集めた意見の内容を意見提出者の個別名と共に記載しているほか、現在の介護状況や課題、技術的な事項の説明等を丁寧に行いながら、財源確保の方策等国民がとりうる選択肢を提示している。簡易版(easy read)も作成されており、中高生でも理解できるよう極めて平易な解説を行っている。その丁寧でわかりやすい政策オプションの説明は、読んでいて、感銘すら受ける。これなら、世代を超えた国民の納得感もあるだろうし、民意や民間の英知をより反映させる仕組みにも繋がるのではないか。