消費者物価(全国09年6月)~コアCPIは7月以降、2%台のマイナスに

2009年07月31日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIは過去最大の下落率を更新
・物価下落品目数が上昇品目数を上回る
・全国コアCPIのマイナス幅は2%台へ

■introduction

総務省が7月31日に公表した消費者物価指数によると、6月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲1.7%となり、下落幅は前月から0.6ポイント拡大、2ヵ月連続で過去最大の下落率を更新した。事前の市場予想(ロイター集計:▲1.7%、当社予想も▲1.7%)通りの結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.7%(5月:同▲0.5%)、総合は前年比▲1.8%(5月:同▲1.1%)となった。
コアCPIの内訳を見ると、燃料価格の変動が迅速に反映される新料金制度の導入に伴い、5月以降、電気、ガス料金は毎月変更されることになったが、電気代(5月:前年比▲0.1%→6月:同▲1.7%)、ガス代(5月:前年比2.4%→6月:同1.2%)は5月に続き6月も伸び率が大きく低下した。ガソリン(5月:前年比▲26.4%→6月:同▲29.5%)、灯油(5月:前年比▲33.8%→6月:同▲40.7%)も下落率が拡大したため、エネルギー全体では前年比▲14.7%(5月:同▲11.5%)とマイナス幅が拡大した。
食料品(生鮮食品を除く)は前年比0.5%(5月:同1.4%)と8ヵ月連続で伸びが鈍化した。
それ以外では、家具・家事用品(5月:前年比▲1.6%→6月:同▲1.7%)、被服及び履物(5月:前年比▲0.1%→6月:同▲0.4%)、諸雑費(5月:前年比▲0.2%→6月:同▲0.4%)など、10大費目のほとんどで下落幅が拡大した。直接的には原油安の影響を受けていない品目でも物価下落が進んでおり、需給バランスの悪化に伴う物価下押し圧力がここにきて着実に高まっている。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲1.35%(5月は▲1.03%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.11%(5月は0.31%)、その他が▲0.42%(5月は▲0.37%)であった。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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