6月マネー関連:銀行貸出は8ヶ月ぶりの低い伸びに

2009年07月08日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 6ヶ月連続で伸び率が縮小
・マネタリーベース: 10ヶ月連続の前年比プラス
・マネーストック: マネーの伸びは鈍化、安全資産への資金流入が続く

■introduction

日銀の貸出・資金吸収動向等によると、6月の銀行総貸出(平残)の伸び率は前年比2.5%と6ヶ月連続で伸び率が縮小し、2008年10月以来の低い伸びとなった。景気低迷に伴って設備資金需要が減少しているほか、CP・社債市場の機能が回復しており、貸出需要が頭打ちになってきている。また、前年度業績の大幅悪化に伴う賞与削減により、前年に比べ賞与向けの貸出が少なかったという要因もあったようだ。
(図表1~3)
なお、中小企業向け貸出については引き続き前年比マイナスが続いており、さらにマイナス幅は拡大傾向にある。6月調査日銀短観では、中小企業の資金繰り判断DIは改善しているものの小幅にとどまっており、DIの水準自体も依然大幅なマイナスとなっている。また倒産件数も高止まりしていることから、中小企業の資金繰りは厳しい状況が続いているとみられ、大企業との間で企業金融の2極化という状況が生じていると考えられる。(図表4,5)

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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