日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業・業況判断DIは19ポイント改善の▲39

2009年06月19日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

  1. 今回短観は景気の最悪期は脱したと前向きな評価とともに、企業の設備・雇用の過剰感が高まり、先行きの民間需要の回復のシナリオに不安を残す内容となるだろう。大企業製造業は在庫調整に目処がつき、中国を中心に輸出の減少も止まりかけており生産増加の動きが見られる。自動車、電機などの業況判断DIが改善し大企業製造業・業況判断は、前回調査よりも大幅改善が期待される。しかし、中堅・中小企業製造業は生産水準の低下から雇用・設備の過剰感が高まっており景況感の改善は大企業製造業よりも小さい。また雇用所得環境が大きく悪化する中、消費不振は非製造業の業績を直撃しており、非製造業の改善も小幅にとどまるだろう。
  2. 注目度が高い大企業製造業・業況判断DIは▲39と前回調査から19ポイントの改善。大企業非製造業は▲27と前回調査から4ポイントの改善となるだろう。中小企業については、製造業が▲45と前回調査から12ポイントの改善、非製造業は、▲41と前回調査から1ポイントの改善と予想する。
  3. 2009年度の設備投資計画(全規模・全産業)は企業収益が大幅に落ち込み抑制的にならざるを得ない。6月調査は3月調査に比べて上方修正されるクセがあるが、今回はその上方修正幅も小幅にとどまる。3月調査より0.9%上昇修正(前年度比▲13.4%)にとどまり、6月調査としては低水準となるだろう。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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