09年1-3月期資金循環統計:個人金融資産は6四半期連続の前年比マイナス、2年間で約1割が消失

2009年06月17日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・個人金融資産残高(08年度末、09年1-3月期末): 2年間で約1割が消失
・フロー(時価変動を除いた流出入額)の動き: リスク回避の流れが継続

■introduction

08年度末の個人金融資産残高は1410兆円と、07年度末から54兆円の減少となった。残高の減少は2年連続となり、減少幅は1980年の統計開始以来最大であった07年度(79兆円)に次ぐ水準を記録。2年累計で133兆円の減少と、ピークであった06年度末(1544兆円)の約1割がこの2年で消失したことになる。また、四半期では金額ベースで3期連続、前年比で6期連続のマイナスが続いている(図表1)。
なお、54兆円の年度残高減少をフロー(流出入額)と時価変動に分解した場合、フローはプラス15兆円と流入超であったのに対し、株式を中心に時価変動のマイナスが69兆円に達しており、金融危機に伴う株価下落が家計に与えた多大な負の影響が現れている(図表2~4)。
3月以降は株価が回復していることから、4-6月期は時価の増加が個人金融資産の増加に寄与することが見込まれるが、一方で家計の所得減少に伴うフローの減少が見込まれることから、金融資産残高の増減はこのうちのどちらの要因が強く出るかにかかっている。

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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