消費者物価(全国09年4月)~コアCPIは5月以降下落幅が急拡大へ

2009年05月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIの下落率は前月と変わらず
・全国コアCPIのマイナス幅は5月以降急拡大へ

■introduction

総務省が5月29日に公表した消費者物価指数によると、4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.1%となり、下落率は前月と変わらなかった。事前の市場予想(ロイター集計:▲0.1%、当社予想は▲0.2%)通りの結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.4%(3月:同▲0.3%)、総合は前年比▲0.1%(3月:同▲0.3%)となった。
コアCPIの内訳を見ると、電気代(3月:前年比8.1%→4月:同5.7%)、ガス代(3月:前年比6.1%→4月:同4.5%)の上昇率は鈍化したが、昨年4月に一時的に暫定税率が失効した影響で、ガソリン価格が3月の前年比▲26.7%から同▲12.1%へとマイナス幅が大きく縮小したため、エネルギー全体では3月の前年比▲7.4%から同▲3.6%へと下落率が縮小した。
食料品(生鮮食品を除く)は前年比2.0%(3月:同2.9%)と6ヵ月連続で伸びが鈍化し、コアCPIの押し上げ寄与は前月よりも0.2ポイント程度縮小した。食料品の前年比上昇率は夏場にはマイナスに転じる可能性が高いだろう。
エネルギー、食料品以外では、経済対策で高速道路料金の引下げが実施されたため、高速自動車国道料金が前年比▲9.7%と大幅に下落したほか、燃油サーチャージ引下げに伴い外国パック旅行が前年比▲15.1%となった。
コアCPIのうち、エネルギーによる寄与が▲0.30%(3月は▲0.64%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.45%(3月は0.67%)、その他が▲0.25%(3月は▲0.13%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、4月の上昇品目数は282品目(3月は289品目)、上昇品目数の割合は53.8%となり、前月の55.2%から低下した。下落品目数は194品目(3月は183品目)で、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は16.8%となり、3月の20.2%から大きく低下した。引き続き上昇品目数が下落品目数を上回っているものの、その差は6ヵ月連続で縮小しており、物価下落が徐々に広範化していることがうかがえる。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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