鉱工業生産09年4月~4-6月期は前期比で二桁増産の可能性も

2009年05月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・増産ペースが加速
・4-6月期は前期比二桁増産の可能性も

■introduction

経済産業省が5月29日に公表した鉱工業指数によると、4月の鉱工業生産指数は前月比5.2%と2ヵ月連続の上昇となり、3月の同1.6%から上昇ペースが加速した。事前の市場予想(ロイター集計:前月比3.2%、当社予想は同4.3%)を上回る結果であった。出荷指数は前月比2.3%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲2.7%と4ヵ月連続の低下となった。在庫率指数は前月比▲4.9%となり、この2ヵ月で▲10.0%の大幅低下となった。

4月の生産を業種別に見ると、在庫調整が進展している電子部品・デバイスが前月比15.7%の大幅上昇となったほか、化学工業(除く医薬品)(前月比13.8%)、パルプ・紙・紙加工品(同10.5%)、非鉄金属(同12.6%)などの素材関連業種も二桁の伸びとなった。歴史的な減産が続いていた輸送機械は前月比7.0%(3月:同3.1%)と2ヵ月連続で上昇した。一方、設備投資の急速な落ち込みを反映し、一般機械は前月比▲14.5%の大幅低下となった。

速報段階で公表される16業種中、12業種が前月比で上昇、4業種が前月比で低下した。

財別の出荷動向を見ると、設備投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は1-3月期に前期比▲19.2%と急速に落ち込んだ後、4月も前月比▲14.7%の大幅減少となった。消費財出荷指数は、1-3月期の前期比▲20.4%の後、4月は前月比4.7%となった。1-3月期のGDP統計では、民間消費が前期比▲1.1%、設備投資が前期比▲10.4%とともに大きく落ち込んだ。4-6月期は、設備投資は引き続き減少するものの、民間消費は定額給付金の効果などもあり、若干持ち直すと予想している。

在庫指数は4ヵ月連続で低下し、この間の低下幅は▲11.5%に達した。特に、低下幅が大きい輸送機械、情報通信機械、電子部品・デバイスの在庫水準は直近のピーク時からは4割前後低下している。企業が急激な生産調整を行う中、輸出が持ち直しの動きとなっているため、年明け以降在庫調整が一気に進展した。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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