消費者物価(全国09年3月)~コアCPIは1年6ヵ月ぶりのマイナス

2009年05月01日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPIは1年6ヵ月ぶりのマイナス
・全国コアCPIのマイナス幅は5月以降急拡大へ

■introduction

総務省が5月1日に公表した消費者物価指数によると、3月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.1%となり、1年6ヵ月ぶりのマイナスとなった。事前の市場予想(ロイター集計:▲0.2%、当社予想も▲0.2%)を若干上回る結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.3%(2月:同▲0.1%)、総合は前年比▲0.3%(2月:同▲0.1%)となった。
コアCPIの内訳を見ると、エネルギー価格は前年比▲7.4%(2月:同▲7.3%)と前月とほぼ同じ伸びとなったが、食料品(生鮮食品を除く)が前年比2.9%(2月:同3.3%)と5ヵ月連続で伸びが鈍化した。これまで高い伸びを続けてきたパン(2月:前年比8.6%→3月:同8.1%)、めん類(2月:前年比6.1%→3月:同4.6%)などが、原材料価格下落の影響から伸びが徐々に低下している。また、家具・家事用品(2月:前年比0.2%→3月:同▲0.6%)、被服及び履物(2月:前年比▲0.2%→3月:同▲0.5%)の伸びが低下したが、これは売上不振に対応して年度末にかけて大幅な値下げが行われたことを反映したものと言えるだろう。
コアCPIのうち、エネルギーによる寄与が▲0.64%(2月も▲0.64%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.67%(2月は0.75%)、その他が▲0.13%(2月は▲0.11%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、3月の上昇品目数は289品目(2月は294品目)となり、上昇品目数の割合は55.2%となった。下落品目数は183品目(2月は177品目)で、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は、20.2%(2月は22.3%)となった。引き続き上昇品目数が下落品目数を上回っているものの、その差は5ヵ月連続で縮小した。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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