ワシントンG7(4/24):年内に世界経済は回復開始、ただし先行きには慎重

2009年04月27日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■introduction

・年内に世界経済は回復開始、ただし先行きには慎重、その他の項目はG20から進展なし
7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が4月24日ワシントンで開かれた。
世界経済の現状について、「最近のデータには、我々の経済の景気後退速度の鈍化やいくらかの安定化の兆候を示すものも出てきている」と世界経済の急激な悪化がここにきて緩やかになっているとの認識を示した。また先行きについては「経済活動は今後本年内に回復を開始するであろう」と金融危機が始まっていたら初めて回復を声明文の中に盛り込んでいる。ただし、先行きの記述については「下方リスクは継続している」と慎重な言い回しとなっている。
与謝野馨財務・金融・経済財政担当相も声明について、「景気後退はしているが、その速度が鈍化しているという消極的な言い方だ。疑問符付きの表現で最悪期から脱したかもしれないということを間接的に表現したもの」と説明するなど各国ともに先行きについては慎重な発言を強調していた。
今回のG7は、4月3日にG20が開催されたばかりであまり大きな進展はもともと期待されていなかった。実際声明文を比較すると、G20から景気認識部分だけ進展があったが、あとの項目はG20での合意点を列挙したに過ぎなかった。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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