経済研究部 経済調査部長
斎藤 太郎(さいとう たろう)
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
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■見出し
・在庫が5ヵ月ぶりに低下
・1-3月期の減産幅は前期比20%を超える見込み
■introduction
経済産業省が2月27日に公表した鉱工業指数によると、09年1月の鉱工業生産指数は前月比▲10.0%と4ヵ月連続の低下となり、市場予想(ロイター集計:前月比▲10.0%、当社予想は同▲12.6%)通りの結果となった。出荷指数は前月比▲11.4%と4ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比▲2.0%と5ヵ月ぶりの低下となった。在庫率指数は前月比11.6%となり、この4ヵ月間で39.3%の大幅上昇となった。
1月の生産を業種別に見ると、輸出急減の影響から、輸送機械、一般機械がそれぞれ前月比▲17.3%、▲12.8%が前月からマイナス幅をさらに拡大したほか、在庫積み上がりが続いてきた電子部品・デバイスも前月比▲21.8%と大幅な低下となった。速報段階で公表される16業種のすべてが前月比で低下した。
生産は2ヵ月連続で前月比10%程度の急激な落ち込みとなったが、在庫指数が5ヵ月ぶりに低下したことは明るい材料のひとつだ。これまで在庫の大幅な積み上がりが続いてきた電子部品・デバイス、情報通信機械といったIT関連分野がそれぞれ前月比▲13.7%、同▲11.9%と大幅な減少となったのが目立つ。また、輸送機械は前月比では2.1%の増加となったものの、前年比では▲8.1%と4ヵ月連続で低下している。
過去の生産底打ちパターンを見ると、在庫が減少に転じてから2~3四半期後に生産が底打ちしている。
1-3月期の減産幅が10-12月期を上回ることはほぼ確実な状況だが、1-3月期の在庫が前期比で減少に転じるかどうかが、生産の先行きを見る上で重要な鍵となるだろう。
経済研究部 経済調査部長
研究領域:経済
研究・専門分野
日本経済、雇用
・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員