消費者物価(全国08年11月)~コアCPI上昇率は09年度入り後マイナスへ

2008年12月26日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPI上昇率は0.9ポイントの急縮小
・コアCPI上昇率は09年度入り後、マイナスへ

■introduction

総務省が12月26日に公表した消費者物価指数によると、11月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.0%となり、上昇率は前月から0.9ポイント縮小した。事前の市場予想(ロイター集計:1.1%、当社予想は1.0%)を若干下回る結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.0%(10月:同0.2%)、総合は前年比1.0%(10月:同1.7%)であった。
コアCPIの内訳を見ると、ガソリン価格が前年比▲10.7%(10月は同10.2%)と14ヵ月ぶりにマイナスに転じた。コアCPIへの寄与度は▲0.30%(10月は0.28%)となり、ガソリン価格の低下だけでコアCPI上昇率は前月よりも▲0.6ポイント縮小した。
値上がりが続いてきた食料品(生鮮食品を除く)は前年比4.4%(10月:同4.5%)と高止まりしたが、上昇率は1年ぶりに鈍化した。パン(前年比16.0%)、麺類(前年比13.7%)、油脂(前年比21.7%)などは引き続き前年比で二桁の高い伸びとなっているが、外食(10月:前年比2.2%→11月:同2.1%)の伸びが若干低下した。
コアCPIのうち、エネルギーによる寄与が0.05%(10月は0.86%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.99%(10月は1.02%)、それ以外が▲0.04%(10月は0.02%)であった。
消費者物価指数の調査対象585品目(生鮮食品を除くと524品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(中間年見直しで追加された3品目はカウントせず)、11月の上昇品目数(生鮮食品を除くベース)は317品目(10月は318品目)となり、上昇品目数の割合は10月に続き6割を超えた(10月:61.0%、11月:60.8%)。
下落品目数は152(10月は151)となり、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は、31.7%(10月は32.1%)となった。コアCPI の上昇率はガソリン価格の急低下を主因として3ヵ月間で1. ポイントの急低下となったが、石油製品関連以外の品目では物価上昇の動きは継続している。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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