11月マネー関連:市場調達困難、借り入れ依存を強める

2008年12月08日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・貸出動向: 市場調達困難、借り入れ依存を強める
・マネタリーベース: 日銀大規模資金供給、当座預金残高の高い伸びが続く
・マネーストック: M2は2%台前半の推移が続く

■introduction

貸出・資金吸収動向等によると、11月の総貸出(平残、銀行計)は前年比3.6%と、92年4月以来、約16年半ぶりの高い伸びを示した(図表1,2)。リーマン破綻以降、企業は市場での調達が困難となっており、CP等から借り入れへシフトしているため伸び率が高まっている。
ただし、借り入れの内訳を見ると運転資金の増加などで、設備投資など実需への需要は低い。また倒産件数も増加傾向で銀行の貸出態度も厳しくなっており、今後も貸出市場が現在のように増加するとは考えにくい(図表3,4)。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)