12月ECB政策理事会:75bpの追加利下げ、過去最低更新も視野に

2008年12月05日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・異例のピッチで利下げ、今後については選択の余地を確保
・ユーロスタッフ経済見通しは大きく下方修正
・1~3月期には政策金利は過去最低水準に

■introduction

欧州中央銀行(ECB)は4日に政策理事会を開催、過去最大の75bpの利下げを決めた。3カ月間で175bpという異例のピッチの利下げによって政策金利は2.5%となった。
同時に公表されたユーロシステム(ECBとユーロ参加中央銀行)のスタッフによる見通しは、2009年の成長率(中央値)はマイナス0.5%、インフレ率はECBの定義による「(2%以下でその近辺という)安定的水準」を大きく下回る1.4%に一気に下方修正された。
トリシェ総裁は、質疑応答の中で、再三にわたり過去3カ月の利下げが異例のピッチで行われたことを強調し、追加利下げ観測を牽制したものの、可能性を排除した訳ではない。足もとの状況は政策金利が2%の過去最低をつけた2003年よりも厳しく、1~3月期にECBの政策金利が2%を割り込む可能性は高まっている。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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