2007年度GDP確報~07年度の実質GDP成長率は1.7%から1.9%へ上方改定

2008年12月02日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・07年度の設備投資は前年比▲0.1%から2.3%へ上方改定
・確報の公表方法には問題も

■introduction

内閣府が12月2日に公表した国民経済計算確報によると、2007年度の実質GDP成長率は、速報値の前年度比1.7%から0.2ポイント上方改定され1.9%となった。
改定の内訳を見ると、民間消費が前年比1.7%から同0.9%へと大幅に下方改定される一方、設備投資は前年度比▲0.1%から同2.3%へと上方改定された。公的需要は、公的固定資本形成が前年比▲1.8%から同▲5.8%へと大幅に下方改定されたが、政府消費が前年比0.7%から同2.2%へと大幅に上方改定されたため、全体では0.5%の上方改定となった。民間消費の下方改定の影響(寄与度:▲0.5%)を、設備投資(寄与度:+0.4%)、民間在庫(寄与度:+0.1%)、公的需要(寄与度:+0.2%)の上方改定の影響が上回り、GDP全体では若干の上方改定となった。
速報段階における2007年度中の設備投資の伸びは、日銀短観などの設備投資調査に比べて非常に弱い動きとなっていた。これは設備投資の推計に用いられる法人企業統計がサンプル替えの影響などから、2007年4-6月期以降急速に落ち込んでいたことに起因する。確報で設備投資の伸びが大幅に上方改定されたことで、GDP速報における設備投資の推計方法の問題が改めて浮き彫りになった。
過去3年間の速報から確報への改定状況を需要項目別に見ると、実質GDP成長率への影響は、民間消費、設備投資が特に大きくなっている。両者ともに景気動向を左右する国内需要の柱とも言うべき重要な需要項目である。両者の速報段階における推計精度が低いことは、GDP速報を景気判断に用いる上で大きな支障ともなりかねない。また、政府部門の改定幅の大きさも目立つところである。今後、GDP統計の推計方法の問題点が改めてクローズアップされることになる可能性もあるだろう。
2007年度の名目GDP成長率は0.3%上方改定され1.0%、GDPデフレーターは0.1%上方改定され、▲0.9%となった。
なお、2006年度についても確報から確々報への改定が実施された。実質GDP成長率は2.5%から2.3%へと下方改定された。政府消費が前年度比0.1%から1.1%へ上方改定される一方、民間消費が前年比1.8%から1.1%へと下方改定された。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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