消費者物価(全国08年10月)~コアCPIは年明け以降0%台へ

2008年11月28日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPI上昇率は4ヵ月ぶりに1%台に低下
・コアCPIは年明け以降0%台へ

■introduction

総務省が11月28日に公表した消費者物価指数によると、10月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.9%となり、上昇率は前月から0.4ポイント縮小した。事前の市場予想(ロイター集計:1.9%、当社予想も1.9%)通りの結果であった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.2%(9月:同0.2%)、総合は前年比1.7%(9月:同2.1%)であった。
コアCPIの内訳を見ると、ガソリン価格の前年比上昇率が9月の20.7%から10.2%に鈍化し、コアCPIへの寄与度は9月の0.56%から0.28%へと縮小した。
一方、値上げが続く食料品(生鮮食品を除く)は前年比4.5%(9月は同4.2%)となり、11ヵ月連続で上昇幅が拡大した。パン(前年比16.6%)、麺類(前年比14.2%)、油脂(前年比24.3%)など、原材料高の影響を直接受けやすい製品が引き続き前年比二桁の高い伸びとなっているほか、調理食品(9月:前年比4.5%→10月:同4.8%)、外食(9月:前年比2.0%→10月:同2.0%)などでも上昇率が高まる傾向が続いている。
コアCPIのうち、エネルギーによる寄与が0.86%(9月は1.22%)、食料品が1.02%(9月は0.95%)、それ以外が0.02%(9月は0.12%)であった。
消費者物価指数の調査対象585品目(生鮮食品を除くと524品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(中間年見直しで追加された3品目はカウントせず)、10月の上昇品目数は318品目(生鮮食品を除くベース)と、9月の310品目から増加し、上昇品目数の割合は6割を超えた(61.0%)。下落品目数は151(9月は157)となり、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は、9月の29.4%から31.0%へと上昇した。コアCPIの上昇率はガソリン価格の急低下を主因として2ヵ月間で0.5ポイント低下したが、物価上昇の裾野はさらなる広がりを見せている。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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