消費者物価(全国08年9月)~コアCPIは年末にかけて1%台の伸びへ

2008年10月31日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPI上昇率は5ヵ月ぶりに鈍化
・コアCPIは年末にかけて1%台まで低下する公算

■introduction

総務省が10月31日に公表した消費者物価指数によると、9月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比2.3%となり、上昇率は前月から0.1ポイント縮小した。事前の市場予想(ロイター集計:2.3%、当社予想も2.3%)通りの結果となった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.2%(8月:同0.0%)、総合は前年比2.1%(8月:同2.1%)であった。
コアCPIの内訳を見ると、ガソリン価格の前年比上昇率が8月の26.4%から20.7%に鈍化し、コアCPIへの寄与度は8月の0.75%から0.56%へと縮小した。
一方、値上げが続く食料品(生鮮食品を除く)は前年比4.2%となり、10ヵ月連続で上昇幅が拡大した。パン(前年比16.0%)、麺類(前年比14.7%)、油脂(前年比23.8%)など、原材料高の影響を直接受けやすい製品が引き続き前年比二桁の高い伸びとなっているほか、調理食品(8月:前年比4.4%→9月:同4.5%)、外食(8月:前年比1.8%→9月:同2.0%)などでも上昇率は着実に高まっている。
コアCPIに対するエネルギーの寄与は8月の1.42%から1.22%へと縮小したが、食料品(生鮮食品を除く)が0.93%から0.95%へ、それ以外が0.04%から0.12%へと拡大したため、コアCPI全体の上昇率の低下は小幅にとどまった。
消費者物価指数の調査対象585品目(生鮮食品を除くと524品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(中間年見直しで追加された3品目はカウントせず)、9月の上昇品目数は310品目(生鮮食品を除くベース)と、8月の305品目から増加し、上昇品目数の割合は全体のほぼ6割となった。下落品目数は157(8月は160)となり、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は、8月の27.8%から29.4%へと上昇した。コアCPIの上昇率は若干鈍化したものの、物価上昇の裾野はさらなる広がりを見せている。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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