日銀資金供給策(10/14)、副総裁人事案:即戦力を最優先

2008年10月15日

(矢嶋 康次) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■見出し

・資金供給策: G7の行動計画に基づく具体策の第一弾
・副総裁人事、山口氏内部昇格案: 即戦力を最優先

■introduction

白川総裁は14日夜、臨時決定会合後に記者会見し、当日発表した対応策(金融市場の安定確保のための金融調節面での対応策)は「国際金融市場の緊張の高まりが日本の短期市場にも影響を及ぼし、金利のばらつきやレポ市場での流動性低下を招いている」ことに加えて「CP金利の上昇圧力がかかるなど一部で資金調達環境に厳しさが見られる」ことに対応するものだと述べた。
今回の措置はG7の行動計画に基づく具体策の第一弾との位置づけで、措置のポイントは3点となっている(P2参照)。
(1)国債レポ市場の流動性改善(変動利付債や物価連動債、30年債も国債現先オペの対象とする)
(2)企業金融円滑化(ABCPも買い入れ対象とするなど)
(3)全額供給オペの導入
上記3つの中で特に注目されるのが、全額供給オペ。これまでは入札方式で高い金利順にドルを供給していたが、今後は金利を固定し、差し出した担保の範囲内で希望額を全額供給するというもの。ドルの枯渇に一定程度の効果がでてくるだろう。
また上記供給策と同時に、株式市場の情勢を見極める観点から、保有株の売却措置も当面停止することも決定された。

総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次(やじま やすひで)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

経歴

・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員

第54回 エコノミスト賞(毎日新聞社主催)受賞 『非伝統的金融政策の経済分析』

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