消費者物価(全国08年7月)~コアCPIは10年半ぶりに2%台の伸び

2008年08月29日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・コアCPI上昇率は10年半ぶりの2%台
・コアCPIは当面2%台前半の推移が続く見込み

■introduction

総務省が8月29日に公表した消費者物価指数によると、7月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比2.4%となり、上昇率は前月から0.5ポイント拡大した。事前の市場予想(ロイター集計:2.3%、当社予想も2.3%)を若干上回る結果であった。
コアCPIの上昇率が2%台となったのは、98年1月以来、消費税率が引き上げられた97年度を除くと92年12月以来である。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.2%(6月:同0.1%)と2ヵ月連続の上昇、総合指数は前年比2.3%(6月:同2.0%)であった。
コアCPIの内訳を見ると、ガソリン価格の前年比上昇率が6月の24.2%から28.7%へと拡大し、コアCPIへの寄与度は6月の0.63%から0.76%へと高まった。値上げの動きが続く食料品(生鮮食品を除く)は6月の前年比3.5%から同3.8%へと高まった。
また、1-3月期の燃料価格が反映されたことにより、電気代(6月:前年比3.5%→7月:同5.4%)、都市ガス代(6月:前年比3.0%→7月:同5.9%)の値上げが実施され、光熱・水道の上昇率が大きく高まった(6月:前年比6.8%→7月:同9.3%)。
消費者物価指数の調査対象585品目(生鮮食品を除くと524品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(中間年見直しで追加された3品目はカウントせず)、7月の上昇品目数は310(生鮮食品を除くベース)と、6月の295品目から大幅に増加した。下落品目数は158(6月は176)となり、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は29.2%と6月の22.8%から大幅に上昇した。物価上昇の裾野はさらなる広がりを見せている。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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